霧月の執筆道場

文章の練習用のブログです。内容はノンフィクション寄りの雑記(Essay)。

12年前の追憶

書いて良いのか悩む内容ですが、これまで一度もどこにも書いたことがないので書いてみたいと思います。

 

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毎年この時期になると思い出すが、今回で12回目になることがあまり信じられないでいる。

 

12年前、私はまだ学生で春休みだった。

あの日私は一人で家にいて、あの時代に流行っていた某SNSをしていた。

 

その時、明らかに"揺れた"ことがわかった。

 

当時私がいたのは被災地ではなく結構離れていたのだが、それでも、生まれてから経験のない強い揺れだということだけはすぐに分かった。

 

あの時はまだ主流だったガラケーを使用中だった私は、そのままそのボタンを操作し、ネットの中の友人達と揺れたことを確認し合った。

 

その後すぐにテレビがある部屋に移動し、テレビをつけた。

その日から、現実味のない映画のような映像がしばらく流れ続けたと記憶している。

 

テレビから流れる空気感をはじめとして、あの時の空気感は確かに平常ではなかった。

現実に周りの景色は変わっていなかったのだが、しばらくの間、私は先行きの見えない恐怖を感じていた。

余震がこのまま続くのかもしれないと思ったし、この国はこのままどうなってしまうのだろうとさえ思った。

あまり外に出たくなかったので、学校がないことが救いだったかもしれない。

 

 

東北は私にとってはかなり縁の深い場所であり、今でも親戚・親類のほぼ全てが東北に住んでいると思う。

そのため心配していたが、親戚の住んでいたエリアも被災地からは離れていたため、この時は大事には至らなかった。

 

それから数年経ってから今までの間に、2回ほど被災地のエリアに行くことがあった。

津波が来た高さを残した壁を見たり、事故によって車でしか通過できなくなった道路を通ったりもした。当時の痕跡が生々しく感じられた。

同じ日本の中にこのような場所ができてしまったこと、もう取り返しがつかないということが、言いようがないほどに深く悲しいと思った。

実際に行って現地を見ないと、ここまで実感することはなかったかもしれない。

 

自然が相手であり、誰かが悪いということではないので、二度と繰り返さないということは難しいのかもしれない。

とにかく、備えも含めて最善を尽くしておくことしかできない。

ただ、あの日を知っている私としては、今後もずっと忘れないようにしたい…とは思う。